四国八十八ヶ所 — バスではなく、キャンパーで巡る
四国八十八ヶ所のお遍路は、日本で今も当時のペースで残っている最も古い周回巡礼です。9世紀に空海が定めた道筋、徒歩で40日、自転車で20日、四国を時計回りに一周します。
現代の多くの巡礼者はツアーバスで8日間のうちに88ヶ寺をまわります。寺は同じです。けれどリズムが違います。お遍路の本質は「歩く」ことにあり、歩けないなら、それに最も近いのはキャンパーです。
キャンパーで16日間、八十八ヶ寺。これは観光バスとは違う、けれど徒歩でもない、その中間のお遍路です。
札所のリズム
四国の四県をそれぞれ「道場」と呼びます。
- 徳島 — 1〜23番 発心の道場。最初の寺が近い距離で並び、ゆったりした入り口。
- 高知 — 24〜39番 修行の道場。太平洋沿いの長い区間、寺の間隔が広い、ひとり旅向け。
- 愛媛 — 40〜65番 菩提の道場。西側の山寺が多く、最も美しい。
- 香川 — 66〜88番 涅槃の道場。距離が縮まり、終わりが近づく感覚。
キャンパーでのペースは、朝3〜4ヶ寺、ゆっくり昼食、午後2〜3ヶ寺、夜は道の駅か小さなキャンプ場で。
徳島 — やさしい始まり
1番札所 霊山寺 から始まります。鳴門の小さな木造の寺。初めての遍路の方には、ここで1時間過ごすことをおすすめしています。境内の本屋で巡礼用の白衣が買えて、店主が鐘の鳴らし方を教えてくれます。3回。4回は葬儀の数字なので絶対に。
1〜11番は10km圏内。一気に回れますが、ゆっくり一日かけたい区間です。
12番焼山寺 は最初の山寺。麓に停めて、徒歩40分の杉林を登ります。歩く道そのものが寺、と言われる場所。
高知 — 太平洋の長い道
徒歩巡礼者がもっとも苦しむ、寺と寺の間が遠い区間。キャンパーではむしろ豊かになります。
23番から24番までは75kmの海岸道。一日かけて、漁港でその日の魚を見て、灯台のそばで停車して、夕暮れに室戸岬の最御崎寺(24番) に着く。お坊様がひとり、夕方の鐘を鳴らしているところ。
その夜は室戸スカイラインの駐車場で車中泊。三方を太平洋に囲まれ、上で灯台が回り、風がキャンパーを揺らします。深い眠りでした。
27番神峯寺。観光バスは入れない山道4kmを上がり、駐車場から竹林を20分歩いて寺へ。南側が開けて、海まで1,000m垂直に下りる。何度行っても他の参拝客に会いません。
愛媛 — 山寺の道
道は内陸へ。45番岩屋寺。崖の中腹に本堂、岩肌に打ち込まれた石段で登る。さらに上に行きたければ、鉄の鎖が岩に固定された梯子があります。ほとんど誰も登りません。
キャンパーの利点は、ここで使えます。停めて、歩いて、座って、戻って、20分走って、小さな道の駅で寝て、翌朝6時に46番から再開。お遍路が本来求めるペースで動けます。
香川 — 終わりへ
最後の23ヶ寺は距離が縮まり、土地もやわらかくなります。高松の良いカフェ、瀬戸内海を見下ろす屋島寺、1,300年前の五重塔がある国分寺(80番)。巡礼というよりは長い、温かい結びの日々。
88番大窪寺 杉木立の中の山道の終わりに。鐘を鳴らし、白衣を納め、車まで黙って戻るのが習わし。私たちは2度経験しました。両方とも車内で1時間座って、運転はしませんでした。何もしないこと自体が、この瞬間の意味です。
必要なもの
- キャンパー16日、東京往復含めて18日
- 山道に強い車。マツダ・プレマシー が一番のおすすめ — 低床、細身、ヘアピンが楽。ホンダ・シャトル も適しています
- しっかりした歩きの靴2足。20〜40分歩く札所が複数あります
- 予定を手放す覚悟。チェックリストの旅ではありません
ご予約いただいた方には、ゆっくり巡るべき札所、信頼できるRV対応の道の駅、岩屋寺の鎖場を登る順番、を書いた長文のPDFをお送りしています。この旅をご検討中なら、ぜひご連絡を。